How does axonal tau become accumulated in the cell body and dendrites in Alzheimer’s disease? アルツハイマー病の病因タンパク質タウはどのように神経細胞内に蓄積していくの?
Tau (shown in red) is one of the microtubule-associated proteins and specifically localized to the axon (cell body and dendrites shown in green), where it is thought to contribute to the axonal structure and protein trafficking. However, in pathological conditions, such as in Alzheimer’s disease, tau mis-localizes to dendrites and forms aggregates called the neurofibrillary tangles. We investigate the molecular mechanisms that determines the axonal localization in normal and how it is disrupted in diseases.
タウ(赤)は細胞骨格の微小管に結合するタンパク質で、通常は軸索内の微小管に結合しており、細胞体と樹状突起(緑)にはほとんど存在しません。しかし、アルツハイマー病患者の神経細胞ではタウが細胞体と樹状突起に異常蓄積します。われわれはタウが軸索のみに局在化するメカニズムを研究し、それがアルツハイマー病で破綻する過程を明らかにします。
Impact of ion channel localization in single cell computation. イオンチャネルの局在化は神経細胞の情報処理にどのような重要性を持つの?
Neurons strictly localize a wide variety of ion channels (shown in green) in axons and dendrites to precisely control the propagation and integration of synaptic potentials and action potentials. The major objective of this study is to understand, in molecular terms, the mechanisms that underly specific localizations of ion channels and the importance of localizing ion channels in neuronal computation at the single cell level.
イオンチャネルにはNa+やK+チャネルなど、様々なものがあり、協調して神経細胞の電気信号を生み出しています。またそれぞれのイオンチャネルは神経細胞内の特異的な場所に運ばれ、そこでそれぞれが特別な役割を分担しています。例えば電位依存性のNa+チャネルは軸索で活動電位を生み出し、Ca2+チャネルは神経終末で神経伝達物質の放出を制御します。われわれは複雑で巨大な神経細胞がどのようにそれぞれのチャネルを特定の細胞内部位に輸送するのか、そのメカニズムに興味を持って研究を行っています。実際にイオンチャネルが特定の場所に運ばれることが、神経細胞の情報処理に取ってどのくらい重要なのかについては分かっていません。われわれは最近、軸索の特定の部位にあるイオンチャネルが局在化することを発見しました。このイオンチャネルが軸索での活動電位の伝搬にどのように影響を与えているかを精査し、イオンチャネルの局在化の意義を明らかにしていきます。
Dynamic regulation of ion channels and its impact on neuronal plasticity. 神経の活動に伴うイオンチャネル機能のダイナミックな制御とその意義
We have previously discovered dramatic regulatory mechanisms of ion channels by neuronal activity. Since then, it has been recognized that the activity-dependent regulation of ion channels play pivotal roles in neurophysiology and pathology. We continue to investigate the molecular mechanisms of ion channel regulation and their impact on neuronal functions using electrophysiology and fluorescence imaging.
グルタミン酸受容体などのシナプス伝達に関わる分子は、神経細胞の活動に応じてダイナミックにその機能が制御されています。現在ではこれは、記憶学習などの分子基盤の一部であると考えられています。こういった分子に比べると、電位依存性イオンチャネルは、静止膜電位や活動電位の発生など、神経細胞の根本的な機能を支えているので、むしろ変化しない静的な分子と考えられていました。しかしわれわれは電位依存性K+チャネルが神経細胞の活動に応じて非常にダイナミックに変化し、神経細胞の興奮性に影響を与えることを発見しました。この成果は、その後の他のグループによる、神経活動依存的なイオンチャネル活性の制御を報告した研究の先駆けとなりました。現在はこの活動依存的な制御がどのような分子メカニズムで起きているのかを、蛍光イメージング、電気生理学などの手法を用いて研究しています。